ラマン顕微鏡は、ラマン分光法を利用してレーザー光を物質に照射したときに発生する微弱なラマン散乱光を検出するもので、物質種の同定や化学結合の状態、分子や結晶の構造などの分析に使われています。
当社が開発した特殊ラマン顕微鏡は、レーザー光を21×21点のマトリクス状に分割して試料に照射して各点からのラマン散乱光を同時に測定し、441ピクセルの高空間分解能ラマン画像を一度に取得できます。従って試料やレーザー光を走査することなく一瞬で2次元ラマンイメージを取得します。
正立型と倒立型顕微鏡に組み込むことができ、また多波長の励起レーザーに対応可能です。
正立型ラマン顕微鏡 倒立型ラマン顕微鏡
ラマン効果は、物質に光を入射したとき、散乱された光の中に入射された光の波長と異なる波長の光が含まれる現象です。ラマン効果により散乱された光と入射光のエネルギー差は物質内の分子や結晶の振動準位や回転準位、もしくは電子準位のエネルギーに対応しています。分子や結晶はその構造に応じた特有の振動エネルギーを持つため、単色光源であるレーザーを用いることで物質の同定などに用いられています(ラマン分光法)。ラマン分光には非破壊・非接触・高感度・微小分析などの特徴があり、医薬品・バイオ・ナノ材料をはじめとする先端研究分野において、化学物質の組成分析物質の同定や結晶構造情報の解析などに幅広く使われ、大変有効な分析法として注目されています。
共焦点顕微鏡は、一般的な光学顕微鏡の光学系とは異なり、焦点の合った部分の反射光のみを受光する光学系です。合焦点面以外の部分で反射される不要な散乱光の影響を受けることなくコントラストの高いクリアな画像を取り込むことができます。共焦点レーザー顕微鏡とはレーザービームとピンホールを用いて解像度の高いイメージングを行う顕微鏡のことです。
共焦点ラマン分光顕微鏡は、共焦点顕微鏡を使用してラマン分析を行う装置で、解像度の高いラマン顕微鏡となります。共焦点顕微鏡では、結像が一点のみであるため、最終的に全体の画像を出力するために、レーザーは試料を走査していきます。そのため、イメージの取得時間が長くなります。多焦点共焦点顕微鏡は試料に多点でのレーザー照射を行うことで、試料から一挙に複数の結像点を得ることができ、ラマン分光イメージングの高速化を期待することができます。
ラマン散乱の特徴としては、観察試料の吸収帯付近の波長を用いることで散乱強度が増大することです。特定の試料に対して、妨害する蛍光が十分弱い時に、特有の吸収帯に近い波長のレーザーを選択することが測定効率を向上させるための有効な手段となります。下の図に示したように、異なる2種類の励起レーザーでカーボンナノチューブを測定したラマン分光結果について、ラマン測定で励起波長を選ぶことで異なる測定結果となります。
共焦点ラマン分光顕微鏡を始めとする、様々なお客様のご要望に応じて光学製品を開発いたします。
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